兼業を全面的に禁止することは、特別な場合を除いて、合理性を欠くものとされています。
認めないといけないのか
従業員が、労働時間以外の時間を、どのように利用するかは従業員の自由となります。
このため、従業員からの希望に応じ、原則副業・兼業を認める方向での検討が望ましいとされています。
しかし、企業には副業・兼業を認めるうえで懸念もあります。
副業・兼業が、本業にどのような支障をもたらすかを精査した上で、副業・兼業を認めない、条件付きで認めるといった判断をする必要があります。
労働時間の管理
副業・兼業での労務管理は、労働時間に注意する必要があります。
じぶんの会社と副業・兼業先の分の労働時間を通算するもの、通算しないものがあります。
通算するもの
- 原則1日8時間、週40時間のルール
- 時間外労働の上限規制(時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内)
通算しないもの
- 36協定で延長できる限度時間
- 労働基準法が適用されない役員・フリーランス、労働時間規制の適用除外となっている業種や管理監督者など
健康の管理
また、健康診断やストレスチェックについては、じぶんの会社と副業・兼業先の労働時間を通算したところ、対象となる労働時間となっていても、実施義務はありません。
ただ、法令等で中高年齢者の労災防止の就業上の配慮が求められています。
この場合には、副業・兼業を認める際には、直近の健康診断の結果が、業務遂行に問題がないなどの基準を設けることもおすすめします。
副業・兼業を行う従業員は、複数の収入源を得られるだけでなく、一つの仕事では出会えなかった人や本業以外での経験から、広い視野を持って仕事に取り組めるようになります。
会社にとっても、副業・兼業で得られた経験やスキルは、本業へ活用してもらう期待が持てます。